中秀は、江戸時代から現代まで250年以上も続く刃物の生地、兵庫県小野市のカスタムナイフメーカーになります。 小野市が『刃物の町』として栄えたきっかけは、豊富で良質な資源が取れた点にあります。日本刀の原料となる一級品の砂鉄が鳥取砂丘から取れ、東隣の三木市の丹生山付近でも鉄が採取できました。さらに、小野市は一柳家を藩主とした「小野藩」の城下町であり、藩の優れたお抱え刀工『藩工』が大勢いたことも大きな要因とされます。 このような素晴らしい産地のおかげで、技術の向上と安定した材料を手に入れることを可能にしております。 「中秀」は伝統ある小野刃物の歴史と技術を少しでも未来に繋げるために、日々新しいことに挑戦しております。
【鋼紹介】
安来鋼とは、島根県の安来市を発祥とする鋼材の総称です。 安来鋼は古くから日本刀の製作に使用されてきました。
安来鋼は直接製鋼法で作られた鋼で、切れ味や持続性に優れております。 日本刀の原料となる玉鋼は、たたら製鉄という製法でしか生産できません。たたら製鉄は約1400年前から続く日本固有の鉄づくりで、島根県の奥出雲町で年に数回行われています 近代以降に洋式製鉄が主流になると、たたら製鉄は操業を停止しましたが、洋鋼では和鋼に比べて良質な日本刀を作ることが困難であることから、日本刀業界によりたたら製鉄の復活が切望されるようになりました。
これに応えたのが旧日立金属安来工場で、少量にはなりますが玉鋼の製造を行っています。現在、このたたら製鉄が素材の製造元として操業されているのは、日本で唯一の場所です。 日本刀は日本の伝統文化の一つであり、その素材となる安来鋼やたたら製鉄も日本の歴史や技術に深く関わっています。 まさしく日本刀のDNAを引き継ぐハガネは安来鋼をおいて他にないでしょう。
【ZDP189】
「ZDP189」 安来工場で生成されるハガネの一種で、旧日立金属社の粉末冶金技術で作られたステンレス粉末鋼となります。 硬度は非常に高くHRC67以上と他のハガネと比較しても圧倒的な硬度を誇ります。 ステン系の鋼材であるため青紙・白紙よりもクロム成分が多いため、炭素系の鋼材と比較しても錆びに強く、メンテナンスも容易です。 「ZDP189」は2023年の時点で、非常に希少性が高く旧日立金属社→プロテリアル社の粉末冶金技術で作られたステンレス粉末鋼となります。
【HAP40】
「HAP40」は、安来鋼の一種で、粉末ハイス鋼と呼ばれる高性能ハガネです。 粉末ハイス鋼とは、鋼の成分を微細な粉末にして圧縮し、高温で焼結させることで、均一で高密度な組織を持つ鋼を作る技術です。HAP40は、高い炭素量とコバルト、タングステン、モリブデン、クロム、バナジウムなどの合金元素を含みます。 熱処理後の硬さはHRC66〜68と高硬度の上に靭性、耐摩耗性、耐食性、耐熱性を兼ね備える優れた粉末ハイス鋼となります。 特に切れ味の良さ刃持ちの長さが評価されています。 HAP40は、旧日立金属の安来工場で開発された「YSSヤスキハガネ」として商標登録されており、日本伝統の製鉄法を受け継いで製造される鋼の一種です。